
急性胆嚢炎の9割以上が胆石に原因があります。
胆石が胆管の中を胆汁の流れを悪くし、
それが長時間に及ぶと、胆嚢に血液が流れなくなり、
胆嚢内の胆汁もうっ滞して、細菌が胆嚢内部で増殖します。
こうして、胆嚢内で細菌による炎症が起こります。
この状態が”急性胆嚢炎”です。
数年前に、サッカーの中村俊輔選手が
緊急手術を行ったことで話題を集めた病気でしたね。
胆嚢内で細菌感染が起こり、胆嚢の炎症がひどくなると
胆嚢の壁が壊れてしまい、手遅れになると生命の危険もあります。
重症化しやすい人、特に高齢者や免疫が低下している人
糖尿病を持っている人は、気をつけないといけない病気です。
急性胆嚢炎の症状は、食事を済ませて1~2時間たってからの、
激しい腹痛からはじまります。
この痛みは、胆嚢の出入り口や胆管に胆石が詰まり、
胆汁が溢れくることから起こるものです。
その為、胆石が胆管に詰まっている限りは、
痛みがなくなることはありません。
右上腹部から始まった痛みは、右肩や背中に及ぶことがあります。
我慢できないような激しい痛み、鈍痛など、強弱の波が
あるなど、痛みの現れ方には個人差があります。
細菌感染から胆嚢炎症を起こすようになると
微熱だった発熱も39度を超すような高熱になり
悪寒や吐き気などをともなう場合もあります。
逆に、高齢者の場合は、発熱しないケースもあります。
急性胆嚢炎の治療は、症状によって三つの段階に
沿って行われますが、中度以上の場合では早い段階で
胆嚢自体を摘出する必要があります。
また、軽症の場合でも、再発の可能性は常にあるので、
炎症がおさまった段階で胆嚢摘出を行うことが
治療の原則とされています。
胆嚢は、肝臓でつくられた胆汁を濃縮し
一時的に貯留しておく重要な臓器ですが、それがあることで
常に再発の危険を心配するより、
”予防的に摘出”するという事が主な治療法になっています。
胆嚢を摘出すると貯水池がないために、
食事ごとの胆汁摘出の調節が術前にくらべると
うまくいきませんが、慣れてくるとさほど問題になりません。
むしろ、胆嚢がなくなったことによって、
食後の痛みなど不快な症状から解放され、かえって
生活が楽に送れるようになったという人も多いようです。
胆嚢摘出以外の治療法
何らかの理由から胆嚢の摘出ができない場合は、
胆嚢内にたまった胆汁や膿を抜く処置が行われます。
それが”胆嚢ドレナージ”と呼ばれる治療法です。
胆嚢に直接針を刺して、溜まった膿を吸引する方法と
細いチューブを皮膚から肝臓を経由させて、
胆嚢内にいれて膿を排出する方法の2種類があります。
人によっては、その後、胆嚢を摘出しないで、
ドレナージだけでその後再発を起こさないケースもあります。
急性胆嚢炎の多くは胆石ができることから起こるので、
その原料となるコレステロールの摂り過ぎには注意したいものです。
また、胆石の疝痛発作は、天ぷらや中華料理などの
脂っこいものをたくさん食べることがきっかけになります。
ネバネバ食品に多く含まれている水溶性食物繊維は
余分なコレステロールを排出してくれるので、
油物の多い食事をする時は、一緒に摂るのがよいでしょう。
ストレスが溜まった状態や過労が重なっていると
胆嚢をはじめとする消化器系の働きも悪くなり、
発作が起こりやすくなります。
急性胆嚢炎を予防する為には、食事は適量を守るようにして、
規則正しい、食生活を心がけることが大切です。
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