
前立腺がんは欧米人に多く見られていたがんです。
動物性タンパク質、脂肪の摂り過ぎによる
いわゆる欧米化した食事が浸透したことによって、
前立腺がんにかかる人が急激に増加、
死亡率もココ15年後程で2.5倍にもなっています。
早期の前立腺がんでは自覚症状はがほとんどなく、
ある程度症状が進行してから見つかるケースが多いがんですね。
最近、尿の回数が増えたとか、排尿後に残尿感がある、
おしっこの出が悪くなった、尿や精液に血が混じっているとか
排尿痛などの症状がある場合は、気をつけましょう。
前立腺がんは、早期の段階であれば、
比較的、治療成績も良好ながんであるため、
ハッキリとした症状があらわれていないうちに
対処したいものです。
現在、前立腺がんを早期に発見するために
PSAの測定が広く行われるようになっています。
PSAは前立腺の細胞から生成される糖タンパク質で、
精液を液状化する働きのある物質です。
前立腺で作られたPSAの一部は血液中に漏出するので、
これを血清PSAとして測定しています。
PSAは前立腺以外ではほとんど作られないので、
血清PSA値が異常なときには前立腺に問題があることになります。
但し、PSAはがん組織のみで作られるのではなく、
正常前立腺や前立腺肥大症など、がん組織以外でも生成されるので、
血清PSA値が異常だからといって、前立腺がんとは限りません。
しかし、がん組織のほうが血液中のPSA濃度の上昇には、
強い影響を与えるので、前立腺がんの腫瘍マーカーになるわけです。
血清PSAアタが1ミリリットルあたり
4ナノミリグラム未満であればがん無しと判定。
40歳以上未満はがんの疑いがありと判定しますが、
その中で1、2割の人にがんが発見される
10以上はがんの疑いが高いと判定しますが、
この中から凡そ6割の前立腺がんが発見されます。
血清PSA値が4以上なら、がんの可能性がありますので、
迷わず悩まず泌尿器科を受診するようにしましょう。
自転車を長距離乗った後や性交渉した後に、
測定値が高くなるというデータもあるので、測定する前には、
こうした行為はできるだけ避けるようにしましょう。
気を付けないといけないのは、PSA値は万能ではないことです。
PSA値が正常であっても前立腺がんの存在が
認められることもあるからです。
排尿障害がある人や血縁者に前立腺がんのある人、
性的活動の関係では、初交年齢が若すぎたり、
性活動が遅すぎたり、20歳、30歳代で活発が過ぎたり、
60歳代から急に性交回数が減少したり、
前立腺がんの危険因子が増えてくる50過ぎの人などは
PSA値が正常範囲で収まっていても、
肛門から指を挿入して、直腸壁を通して前立腺の大きさや
しこりの有無を触って調べる直腸内指診や超音波検査なども
定期的に受けるようにしたほうがいいようです。
前立腺がんに限らずですが、がんは予防に越したことはありません。
動物性タンパク質や塩の摂り過ぎには注意する、
新鮮な野菜や果物を積極的に摂るようにする
特にイソフラボンを多く含んだ大豆製品を意識して摂る等です。
ある研究データによると緑茶を飲むことで、
前立腺がんの発症リスクを減らすというのもあります。
また、前立腺がん発症のリスクで明らかになっているのは、
年齢、がんの家族歴ということなので、
これまでの生活習慣や発症のリスクに当てはまっていて
排尿時に違和感を感じたのであれば、
一度、泌尿器科(専門医)に見てもらうようにしましょう。