
アンチエイジングに関心がある人にとって、
「ヒト成長ホルモン」の分泌をよくすることは、
老化対策のキーワードになります。
成長ホルモンは、文字通り骨や筋肉を成長させるホルモン。
20歳を頃が分泌量のピークで、その後は、加齢とともに、
その分泌量は加速度的に減少していきます。
40歳では20歳の頃の半分となり、
60歳では4分の1の量になっていきます。
子供の頃の身長が急激に伸びていくのは
成長ホルモンの働きで、特に成長期の子供にとっては
よく眠る、睡眠の質や量が大切な要素になるわけです。
しかし、これは何も子供に限ったことではなく、
成長期を過ぎた大人でも、細胞のリニューアル開始の時間帯が
就寝時間にあたることから、
成長ホルモンの分泌量を極力減少させないためにも
睡眠をシッカリ確保することの重要性は、
子供の頃と変わりはありません。
大人にとっても成長ホルモンは大切なホルモンです。
大人の場合は、成長というよりは細胞の新陳代謝を促します。
壊れた細胞や働きが悪くなった細胞、
そして、寿命がきた細胞をリニューアル必要があるわけです。
筋肉や皮膚、内臓といった体の組織をつくる作用もあるので、
健全な血管を維持するのにも欠かせません。
また、脂肪を燃焼してエネルギーに変換する働きもあります。
昼と夜が反対になる3交代の仕事をしている人は、
糖尿病や脂質異常、高血圧や肥満などの生活習慣病にかかる
リスクが高くなります。
これは成長ホルモンの分泌量が少なく体の修復が
追いつかなくなることが関係しているわけです。
メラトニンは体内時計とかかわっていますが、
成長ホルモンの分泌は体内時計の影響を受けずに、
睡眠の深さと関係しています。
太陽と月、引力の関係から、夜の22時~夜中の2時頃、
さらに、眠りはじめの最初の3時間くらいに70%が分泌されます。
このタイミングと時間帯が、
成長ホルモンの”ゴールデンタイム”になります。
睡眠には、体がシッカリ休息しているのに、
脳は働いているレム睡眠と脳も体と同様に、休息している
ノンレム睡眠の二つのパターンがあります。
夢をみている時はレム睡眠時で、ノンレム睡眠時は
脳の活動レベルが低下しているので、ノンレム睡眠の時には
夢を見ることはありません。
睡眠に入った最初の頃にはレム睡眠が訪れ、
その次にノンレム睡眠へとシフトします。
人はレム睡眠~ノンレム睡眠という2種類のサイクルを
90分間隔で一晩に5回ほど繰り返します。
そして、成長ホルモンは、はじめの”ノンレム睡眠中”に
最も多く分泌されます。
体は体内時計によってコントロールされている
生体リズムがありますが、成長ホルモンの分泌は、
この生体リズムに影響を受けます。
生体リズムには、
① 睡眠と目覚めのリズム、
② メラトニンなどのホルモン分泌のリズム、
③ 深部体温のリズム
という三つのリズムがあります。
睡眠と目覚めのリズムは、レム睡眠に影響を与えるのですが、
そのことが関係して、明け方にレム睡眠が
多くなりやすい傾向がでてきます。
例えば、夜中の3時くらいに床についた場合、
レム睡眠とノンレム睡眠が拮抗して、眠りが浅くなる
可能性がでてきます。
その結果、深い眠りに入れず、成長ホルモンの分泌量が
低下してしまうこともあるわけですね。
深部体温も考慮して、成長ホルモンの分泌を良くしましょう!
体の深部体温のリズムは、部屋の温度などの
外的な要因とは別に変化する体温の変化です。
1日の中の体温の変化を見てみても、
朝と夜とでは、体の深部の温度は1度の差があります。
お昼の2時から24時頃の体温が最も高くなり、
夜中の2時から4時頃の体温が最も低くなります。
体温が低い時間帯は、自律神経の副交感神経の働きが、
良くなっているので、深い眠りを取る条件が整っているので、
この時間帯に睡眠をとることが理想的ということです。
成長ホルモンは眠りはじめの3時間に70%が泌されますが、
残りは空腹時と運動時に分泌されます。
残りの30%の要素も考慮した生活を送るようにすると
加齢とともに減っていったとしても
その曲線は緩やかにすることができそうですね。