
歯周病は、普段の何気ないことから感染する病気です。
でも、多くの人がその認識がないようです。
日本では、5歳以上の凡そ7割近くが、そして、40歳を超えると
9割近くの人が歯周病にかかっていると言われています。
歯周病が進行すると、重い歯肉炎から
大事な歯を失ってしまうことになります。
そして、歯周病は単に口の中の病気だけでなく、
全身の健康状態にも悪影響を及ぼしてしまう病気です。
歯周病ってどんな病気?
人の口の中には、300種類、500億から1兆個も細菌が
住みついていると言われています。そして、そのうちの20種の菌が
歯周病に関係していると言われています。
食事をした後、食べかすが口の中に残っていると
それを餌にして、菌が増殖し、歯の表面にプラークをつくると
プラークの中の菌が分泌する毒素によって、炎症が起こります。
これが歯肉炎になります。そして、炎症が広がり、歯と歯の間に
すき間ができるとそこに菌がたくさん生息するようになり
やがて、歯槽骨と呼ばれる歯を支えている本を溶かしていきます。
これが、歯周炎で、この歯肉炎と歯周炎を合わせて歯周病と呼ばれています。
歯周病は様々な病気に関係しています!
歯周病で歯を失ってしまうと、食べものをよく噛めないために
消化の第一段階である仕事ができずに、栄養素の吸収が悪くなり
そのため、免疫の働きが悪くなってきます。
食べ物を噛むことがうまくできなくなると唾液の分泌が悪くなるので
唾液の中に含まれている消化酵素や抗酸化物質、解毒物質などが
減ってきて、アレルギーやがんなどにもなりやすくなります。
そして、歯周病で歯を失ってしまうと老化や認知症もどんどん進行します。
統計によると認知症の進行した人ほど、残っいる歯の数も少なくなっていて
その分、噛む力も弱くなっている事が明らかになっています。
昔、ホームラン王の王選手が、奥歯を大切にしていた事が
話題になっていたりしましたが、奥歯を噛みしめるパワーは
相当なものになるようです。
歯を失うことは、生きる意欲の喪失に反映されるのかも?
そして、噛むことは、大脳の神経活動を活性化することが確認されています。
また、歯がぐらついたり抜けたりすると噛み合わせが悪くなり、
それが元で肩こり、腰痛、膝痛などにもつながります。
噛み合わせが悪いと脳にストレスがかかり、不眠症や自律神経失調症を招くという指摘もあります。
さらに、歯周病菌が歯周病だけでなく、様々な病気の引き金になることが、わかってきています。
糖尿病
糖尿病の人は、歯周病にかかりやすく、その反対に
歯周病が治癒すると糖尿病も改善されるという臨床報告がでています。
糖尿病と歯周病の関連性については、免疫細胞が
歯周病菌を攻撃する時に出す生理活性物質が
インスリンの働きを弱めたり、すい臓のインスリンの分泌する
働きを弱めるのではと考えられています。
心臓病
18年に追跡調査を行ったノースカロライナ大学の研究によると
歯周病の人は狭心症や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが
1.5~3倍高まってしまうようです。
心筋梗塞や動脈瘤の病巣部から、実際に歯周病菌が検出されたという
報告もでています。
炎症の指標となる血液中のCRPが高いと、心筋梗塞が危険が高まりますが
重度の歯周病患者の4割近くでCRPが大量に検出されたという
データも出ています。
がん
国立がんセンターの研究では、食道がん細胞から歯周病菌が高率で
検出され、口腔から降りてきた歯周病菌によって食道粘膜に
炎症が起こり、発がんに至るのではと考えられています。
早産
ノースカロライナ大学の研究で明らかにされていますが
歯周病の妊婦が低体重児を早産するリスクは、歯周病のない妊婦の
約7倍に登る事が検証されています。
血流に乗って羊水の中に入った歯周病菌を免疫細胞が攻撃し
その際に放出される生理活性物質が胎児を包んでいる
羊膜を傷つけたり、子宮の収縮を促して、陣痛を早めるのではないかと
考えられています。
その他、
歯周病の人は骨粗鬆症や関節炎にもなりやすく、高齢者が
口の中の細菌を唾液と一緒に気管へ吸い込んでしまうことで
誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
また、細菌が分泌している内毒素が頭痛や微熱の引き金になる場合もあります。