
高血圧の状態が長期にわたって続いてしまうと
血管が傷つく確率が上がると同時に
修復の働きも間に合わなくなります。
やがて、血管の老化である動脈硬化が進行し
血栓により詰まりや血管そのものが切れてしまうなどの
トラブルが起こりやすくなります。
高血圧の合併症、特に毛細血管の障害から起こる
様々なトラブルを予防するためには
速やかな対応が必要です。
ココでは、栄養素、特にミネラルの
ナトリウムとカリウムの関係から、高血圧対策について
見ていきたいと思います。
ナトリウム、カリウムバランスの乱れと高血圧の関係
ナトリウムが主に細胞外の主成分であるのに対して、
カリウムは細胞内に主に存在しています。
そしてカリウムは、細胞の内外含めて、
全体の働きを正常に維持するのに
大切な役割を担っています。
カリウムの不足が高血圧を引き起こすことが
米国の疫学調査で報告され、
注目を集められるようになりました。
この調査では、体内に必要なカリウム摂取量より
多く摂っていたグループの方が
脳卒中死亡率が低くなったというものです。
カリウムが不足していたグループより
約40%低下したという結果が出ています。
高血圧というと塩分の摂り過ぎを気にする人が
多いですが、実際には、ナトリウムの摂取以上に
カリウムの摂取量に気を配る必要があります。
自然の食品のなかには
それほど多くのナトリウムは含まれていません。
昔の人にとっては塩は貴重な食品でした。
現代人が塩を摂り過ぎやすい一因に
加工食品の氾濫があります。
自然な食品のそのものに含まれている
ナトリウムの量はわずかな量なのに、
それを加工するプロセスで
ナトリウムの含有量が倍々ゲームで増えてしまいます。
加工食品や外食に偏った食生活になっていると
それだけ塩分の摂取量も高まりやすくなるわけです。
それは、体の中のナトリウムが増えるだけでなく
ナトリウムと一緒に仕事をしている
ミネラルバランスを崩す結果を招きます。
血圧が高まっている人は減塩だけを考えるのではなく、
カリウムの積極的な補給を心がける必要があります。
カリウムをたっぷり摂るようにしていると
尿から排出されるカリウムが一緒にナトリウムも
連れ立って排出してくれます。
普段の食事から塩分がなかなか減らせない人は、
ナトリウムを体から追い出すつもりで、
カリウムの摂取を意識するといいでしょう。
なぜカリウムが脳卒中を防ぐのか?
カリウムと脳血管障害予防のメカニズムについては
まだ不明な点もありますが、
理由として下記のようなことがあげられています。
● 食塩(Nacl)の中の含まれるナトリウムなどを
体外へと排出をよくする働き
● ナトリウムを摂ることで上がる自律神経への刺激を
緩和する働き
● 交感神経の活動、興奮を緩和する働き、
● 血圧が高い人は脳動脈の内側にある細胞に
圧がかかって損傷しやすいですが、その損傷を防ぐ働き、
等があります。
カリウムの摂取量は一般に2000mgといわれていますが、
高血圧予防のために摂るのであれば
1日3500mg以上が望ましいとされています。
※ カリウム制限が必要な場合とは、
腎臓に何らかの疾患があると場合などは、
カリウム摂取の制限が必要です。
その際、果物を少なめにしたり、野菜はゆでる、
煮るなどのしてカリウムを減らすようにします。
カリウムを含む食品の料理は手早く短時間で
カリウムはその性質上、
水に流出しやすいという特徴があります。
したがってカリウムを含む野菜や
果物を長く水につけておいたり、ゆでる、
煮るなどの調理をすることによって、
40%くらい失われてしまうのです。
こうした理由から炒める、揚げるなど
短時間で調理することが、カリウムの損失を防ぐ
ポイントになります。
しかし、調理法が偏りすぎると
料理が短調になり、食事の楽しみが減ってしまうもの。
ゆでる、煮るなどの料理の場合は、
いつもより野菜を多めに食べるよう
意識するようにしましょう。