
ビタミンB群の一つである葉酸は、元々、ビタミンB12と同様に、
貧血を予防するビタミンとして知られていました。
もちろん、貧血予防の作用もありますが、
現在では、葉酸は、血栓の防止と脳機能を維持する働きとして、注目されています。
動脈硬化を引き起こす原因物質に、ホモシステインという物質がありますが、
葉酸は、このホモシステインを分解して、血栓ができるのをふせぐ働きをしています。
そして、脳を活性化させて、認知症を予防する作用もあります。
ところが、高齢者の多くは、食事から十分量の葉酸を
摂取できていないという状態にあると言われています。
栄養学では、50歳以上になれば1日に235ミリグラムの葉酸を
摂取することが求められてます。
特にタバコを吸う人は、吸わない人と比べて、
3倍程度は、葉酸を摂る必要があると言われています。
葉酸には、大腸がん、肺がん、乳がん、食道がんの前段階である、
ポリープができるのを防ぐ働きを持っています。
米国のハーバード大学の研究によると、
男女合わせて、25000人に及ぶ人を対症にしたもので、
葉酸を最も多く摂取している人は、
ポリープの発生率が最も少ないことがわかりました。
700ミリグラムの葉酸を摂取している女性では、
166ミリグラムの葉酸を摂取をしている人と比べて、
ポリープの発生率が3分の1程度に抑えられました。
また、この研究では、脳機能に対する、
葉酸の作用についても同時に行われました。
葉酸を十分に摂取している人は、記憶力の減退、うつ状態、
認知症につながる率が少なくなるということがわかっています。
そして、高齢者で、精神障害を持っている人は、
持ってない人に比べて、葉酸の血液濃度が極めて低いことがわかりました。
体に何らかの障害を持ってない人は、
抽象的な思考や記憶力の低下が見られます。
また、うつ病で葉酸の量が不足している人に、
葉酸を1日400ミリグラムを投与した場合、改善例がみられたという結果も出ています。
脳は、幾つになっても、適度に使うことが、
脳機能の低下や改善に役立つものですが、葉酸をサプリメントなどを使って、
利用することで、栄養面からのフォローを与えることが大切です。
葉酸は、緑黄色野菜に多く含まれているので、
ほうれん草やレタス、ミカンなどを、意識して食べることをおすすめします。