
内臓脂肪が溜まってくると肥大化した脂肪細胞から、
悪玉サイトカインが分泌され、それがが動脈硬化を促進させていきます。
その為、内装脂肪は、皮下脂肪と比べて、
深刻な生活習慣病にかかるリスクを高めます。
内臓脂肪が溜まっている内臓のまわりや
腸間膜の間などには血管が集中している為、
脂肪細胞が分泌する生理活性物質の影響が、
血管内に直接的に現れてしまいます。
内臓脂肪が増えると、生理活性物質のアディポネクチンが減少します。
アディポネクチンには、血管壁の傷を修復する働きがありますから、
減少はそのまま動脈硬化の促進を招きます。
また、脂肪細胞は悪玉サイトカインの
PAI-1やHB-EGFなどの物質を増やしますから、
これも動脈硬化を招く大きな要因になります。
PAI-1が増えてくると血栓が血管内にできやすくなるので、
脳梗塞や心筋梗塞などの危険度も高めます。
特にストレス過多な生活を送っていると、若い年齢層であっても、
それがきっかけになって、発症することもあります。
内臓脂肪はまた、アンジオテンシノーゲンという
悪玉の生理活性物質の分泌を高めます。
アンジオテンシノーゲンには、血圧を上げる作用があります。
アンジオテンシノーゲンが増えれば、
高血圧の危険を招き、高血圧は動脈硬化を促進させます。
動脈硬化や高血圧はそのこと自体が問題なのではなく、
狭心症や心筋梗塞などの心臓病、脳出血や脳梗塞などの脳卒中など、
生命にかかわる生活習慣病を引き起こす原因になります。
さらに、内臓脂肪は、インスリンの働きを妨げるように作用します。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンですが、
ご存知のように、インスリンは、血中のブドウ糖に作用して、
体内の糖代謝を正常に保つように働いています。
これが妨げられることで、高血糖状態を招きやすくなります。
血液はベトベトした状態になり、血管障害を招くリスクを高めたり、
血液の流れが悪くなることで、細胞の代謝も悪くなります。
内臓脂肪が増えると、生理活性物質のアディポネクチンが減少していきますが、
その反作用として、悪玉のTNF-αが増加します。
アディポネクチンには、インスリンの働きを助けて効力を高める作用もあり、
TNFーαにはインスリン抵抗性を高める作用がありますから、
どちらも高血糖を促進し、糖尿病を発症させる大きな要因になります。
内臓脂肪が多い状態は、それ自体が中性脂肪、
コレステロールが多いことですから、
血液中の脂質が異常に高い脂質異常症になる危険性が高くなります。
それに反比例するように善玉のHDLコレステロールが減少する
低HDKコレステロール血症が進行します。
こうした症状は、他の危険因子とからみあって危険な動脈硬化を進行させます。
内臓脂肪は、皮下脂肪と比べて、食事や運動、
ライフスタイルを変えることで、減っていくものですが、
まずは、その怖さを知っておくことが大切です。
怖さを知って、生活習慣の改善に取り組めば、
いいライフスタイルを習慣化することも容易になります。